2021/6/20 05:18AM
Category: 近畿支部

近畿支部会のお知らせ(2021/6/20・zoom開催)

天文教育普及研究会2021年6月近畿支部会を以下のとおりおこないます。
日時 2021年6月20日(日)
場所 オンライン(zoom+sli.do)
テーマ 天文学史・天文民俗学とその教育普及利用

<プログラム>
*招待講演以外は20分(15分発表+5分質疑、スライド切り替え含む)を想定

10:00 開始 支部長より挨拶

一般発表1+テーマ発表1
10:10 富田晃彦(和歌山大学)・綾仁一哉(井原市美星天文台)・山岡均(国立天文台)
「イランの正月=春分『ノウルーズ』に合わせた日本とイランと世界の交流」

春分は、世界同時に起こる天文学的現象であると同時に、古くから、暦の上で
人々の生活と深く結びついてきた。イランや周辺の地域では現在も、
この時が一年の始まりの時である。この機会をとらえ、日本とイランの児童・生徒、
天文愛好家の交流が企画され、さらにルーマニアやブルガリアも参加してのオンラインのイベントとなった。

10:30 澤田幸輝(和歌山大学)・北尾浩一(大阪科学振興協会中之島科学研究所)・尾久土正己 (和歌山大学)
「アストロツーリズムを通じた星文化の教育普及の可能性—鹿児島県与論島を事例に」

著者らは、2020年5月に、鹿児島県与論町で天文民俗学の現地調査を実施した。
当該調査は、同島における星文化を、アストロツーリズムの文脈で活用することを
企図したものである。本報では、これまで相反する概念として議論されてきた「観光」と
「教育」を接合させ、アストロツーリズムの文脈から、星文化の教育普及の可能性を模索する。

10:50 玉澤春史(京都大学/京都市立芸術大学)
「『ジャパンサーチ』の天文学史講義での利用実践」

2020年に資料を所蔵する各館のデータベースを横断的に検索できる
「ジャパンサーチ」が公開された。この中には天文学史の資料も該当する。
これをもちいた大学での一般教養の講義における利用実践を報告する。

11:10 陶山徹 (長野市立博物館 )
「長野県天文文化研究会の活動~長野県は宇宙県~」

2019年に長野県天文文化研究会を発足した。
研究会では、長野県の近世、近代の天文史の調査研究を進め、宇宙県である
長野県の天文文化のルーツをたどろうとしている。
本講演では、研究会の現状について紹介する。

11:30 渡辺真由子(茅野市八ヶ岳総合博物館)
「明治後期~昭和初期の学校における天文教育の変遷と地方天文同好会の発足:信州諏訪と山本一清博士」

検定・国定教科書および当地で独自に作成された補助教材の天文課目の変遷をたどり、
当時の信州教育現場と天文同好会発足の関連について調査した内容を報告する。

11:50 大西浩次(長野高専)
「市民科学による『長野県は宇宙県』の近代天文学史100年の構築にむけて」

2019年に長野県天文文化研究会を発足した。研究会では、長野県の近世
近代の天文史の調査研究を進め、宇宙県である長野県の天文文化のルーツを
たどろうとしている。本講演では、研究会の現状について紹介する。


12:10-13:00 休憩


テーマ発表2

13:00 (基調講演)北尾浩一
「教育としての天文民俗」

天文民俗は、天文教育、理科教育で習得をめざす知識や手法とは異質のものである。
昔の人は、星て時間、季節、方角を知ったというように、過去のこととして、
現在では使われない知識、手法として取り上げられた。
昔ながらの星とくらした生活に、自然との共生、自然とともに生きること、
そして、そのなかで語られた物語、伝承に情緒的な意味を見出す、それらは天文教育
に大切なことであっても、根幹にかかわるものであるとは位置づけられなかった。
あくまでも補助的な存在であったのではないだろうか。
天文民俗を理科教育、天文教育と対立するもの、別のものとしてではなく、
また、古くから伝承されてきた固定されたというか静的な知識でもなく、
生活しているときに、実際に対象すなわち星を観察し、
それをもとに判断し行動していくという経験を積んでいくプロセスを
教育として意味付け、それに今日的意味を考え、天文教育の根幹にかかわるものとしての
天文民俗の可能性を議論したい。

14:00 古屋昌美(枚方市野外活動センター)
「枚方・交野の七夕史跡と"HIRAKATAプラネタリウムミュージアム"のご案内」

 大阪北部に位置する枚方市・交野市は地域をながれる河川「天野川」を中心に
七夕にまつわる史跡が多いことから「七夕のまち」としてひろく知られています。
史跡がうまれた経緯とあわせて、この春に監修を担当いたしました、
枚方市が作成・公開中の枚方の七夕伝説にまつわる動画コンテンツのご紹介をします。 

14:20 西村昌能(花山星空ネットワーク)
「記紀神話と星の神々」 

古事記・日本書紀には星の神の記述が少なく民俗学の研究との整合性が低い。
星の神としての「フツヌシ」と「ツツ」についての論考を紹介する。

14:40 作花一志(京都情報大学院大学)
「平安文学の中の天変 」

竹取物語、大鏡、源平盛衰記、方丈記、(明月記)に記された
天変現象について私見を述べる。


15:00-15:15 休憩


15:15 小島敦
「ギリシア人と星座と神話」

様々なところで話される「星座のギリシア神話」は今や普及の面では欠かせないものである。
しかし、そんな知名度に反し、我々は「星座の神話集」のようなギリシア文学の名を耳にしない。
この理由は何故だろうか。この発表では、ギリシア文学の中での星座を確認しながら、
その理由を探っていく。

15:35 道越秀吾 (京都女子大学)
「京都女子大学の望遠鏡から見た日本の天文学史」

京都女子大学附属小学校に設置された望遠鏡の調査結果と、そこから浮かび上がってきた
大正から昭和にかけての日本の天文学の発展を支えた望遠鏡の鏡製作者達に関する考察を発表する。

15:55 山田竜也(ナスピア)
「レーマーによる光速度測定について」

レーマーによる初の測定結果は、214300km/sだとされている。
しかし2008年に渡會氏が天文教育に書いている通り、出典が不明である。
そこで、個人的に調べてみた結果を報告したい。


一般発表2

16:15 嶺重慎(京都大学) 
「天文手話51語リストの公開 」

天文手話検討WGでは、ろう者・難聴者を交えて天文用語の手話表現の検討と
整理に努めてきました。ようやくそのリストが公開できるレベルになりましたので、
みなさんにみていただき、コメント・リクエストをいただきたく思います。

16:35 河村聡人(京都大学)
「Mitakaの改造のススメ」

Mitakaはバージョン1.6よりユーザーによるスクリプトの作成・再生が可能となりました。
Mitaka WGではこれまで3回のワークショップを行ない、またFacebookページでの発信を
続けてきました。また発表者は所属先用のスクリプトの開発も行ってきました。
当発表では、これまでの取り組み等の紹介を通してMitakaの改造への入り口を提示します。

16:55 岸本浩
「5.26皆既月食での高校生共同観測の顛末と今後... 〜月の視差から距離を求める〜 」

天文部の生徒が,皆既月食を利用して2地点間での月の視差から月までの距離を求めることを
計画し、天教MLでお世話になりました。コロナ禍での計画・運営・実施の状況を報告し、
多くの高校生が取り組みやすい共同観測、国を超えた共同観測を模索したいと思います。

17:15-17:30 休憩

17:30 ディスカッション:来年の年会に向けて(平松氏コメント含む)
18:00 終了予定

18:30 オンライン懇親会