TOP

惑星系命名スケジュール

惑星系命名登録の仕方

太陽系外惑星についての追加情報

太陽系外惑星の発見方法

 1.パルサータイミング法

 2.視線速度法

 3.トランジット法

 4.重力マイクロレンズ法

 5.直接撮像法

命名候補 惑星リスト

よくある質問

組織

参考リンク

リンクバナー

ダウンロード(提供素材)

ギャラりー(提供写真)

太陽系外惑星はどのようにして発見されるのでしょうか?

ここでは、視線速度法についてご案内します。

←前へ その他の発見方法  次へ→

 2.視 線 速 度 法



 この方法は、惑星の重力によって主星もわずかに公転運動をする効果を検出する方法です。惑星は主星の重力を受けて主星のまわりを公転していますが、それと同時に、主星も惑星の重力を受けて、主星と惑星の共通重心のまわりを惑星と同じ周期で公転しています。例えば、太陽は木星の重力によって2つの天体の共通重心(太陽から木星まで距離の約1000分の1)のまわりを約12年の周期で公転しています。この太陽の公転速度は、秒速にすると約13mになります。地球の重力が太陽に及ぼす影響はもっと小さく、太陽の公転速度は秒速約9cmです。視線速度法では、「光のドップラー効果」を利用してこの主星の公転運動の視線方向成分を検出します。

 ドップラー効果とは、運動する物体から放たれる音波や電磁波(光)の波長が、物体が観測者に近づく時に短くなり、遠ざかる時に長くなる効果です。音波の場合は波長の変化は音程の変化として捉えられ、身近な例では、救急車が近づいてくるときにサイレンの音が高くなり、遠ざかるときに低くなる現象が挙げられます。

 一方、光のドップラー効果の場合は、波長の変化は色の変化として捉えられます。つまり、惑星をもつ恒星を地球から見ると、恒星が公転運動をするのに応じて地球に近づいたり遠ざかったりを繰り返すため、恒星の色がわずかに青くなったり赤くなったりを繰り返します(図1)。


(図1) 視線速度法の概念図

 視線速度法では、このわずかな光の色の変化(波長の伸び縮み)を高分散分光器と呼ばれる観測装置で高精度に捉えることで、惑星の存在を発見します。この方法は、主星に近く短周期の惑星ほど発見しやすいという特徴があります。

 1995年に世界で初めて恒星のまわりで発見された惑星「ペガスス座51番星 b」は、視線速度法を用いて発見されました。それ以来、これまでに(2014年8月時点)約570個の惑星(430個の惑星系)が視線速度法で発見されています。特に、ヨーロッパがチリの天文台にもつHARPS(ハープス)という高分散分光器は、秒速1m以下(人間が歩く速度程度)の微小な恒星の視線速度まで捉えることができ、これまでに質量が地球の数倍程度の軽い惑星を含む数多くの惑星を発見しています。

 また日本でも、国立天文台・岡山天体物理観測所の188cm反射望遠鏡と高分散分光器HIDES(ハイデス)を用いて視線速度法による惑星探索が進められており、2003年に日本で初めてとなる系外惑星HD104985bが発見されました。この惑星は巨星と呼ばれる年老いて大きく膨れ上がった恒星をまわる惑星です。それ以来、同観測所ではこのような巨星まわりの惑星を精力的に探索し、これまでに世界最多の30個の惑星(と褐色矮星)を発見しています。さらに、すばる望遠鏡の高分散分光器HDS(エイチディエス)を用いた探索でも、これまでに3個の惑星が視線速度法で発見されています。

文責: 福井暁彦(国立天文台)


◆ 関連サイト:
 日本で初めて発見された系外惑星の紹介(岡山天体物理観測所):http://www.oao.nao.ac.jp/public/research/hd104985/

 すばる望遠鏡で発見された系外惑星の紹介(すばる望遠鏡):http://www.naoj.org/Pressrelease/2007/08/16/j_index.html


天文教育普及研究会 太陽系外惑星命名支援WG