(2013/10/28 掲載)
Q1:彗星は何でできているの?
Q2:尾は何でできているのか、尾の長さはどれくらい?
Q3:アイソン彗星はいつかまたもどって来る?
Q4:彗星はどのくらい太陽に近づくの? 飛び込んでしまうものはないの?
Q5:彗星が生命誕生に関わっているって本当?
Q6:いつ、どこで見られる? 何時頃どちらを見ればよい?
Q7:観察に適した場所は?望遠鏡は必要?
Q8:写真に撮れる?どんなカメラがあればいい?
Q9:彗星の名前はどうやってつけるのか、アイソンは人の名前?
Q1:彗星は何でできているの?
A1:
彗星の本体は氷と砂粒(ダスト)でできた核です。水、二酸化炭素、一酸化炭素などの氷が 混じっています。ダストはmmくらいのもの、その1/1000のμmくらいのものなど、小さいものです。 「汚れた氷のかたまり」と言われています。核の大きさは数百mから10kmくらいです。
Q2:尾は何でできているのか、尾の長さはどれくらい?
A2:
二種類の尾があります。ひとつは、一酸化炭素(CO+)や水蒸気(H2O+)のイオンの尾で、太陽と反対方向 に伸びます。太陽のエネルギーを得て、自分から発光して青色や赤色に見えます。もうひとつは、ダスト (μmサイズ)の尾で、彗星の通り道(軌道)に沿うようにたなびきます。太陽の光を反射して黄白色に輝き ます。長さは普通は数千万kmですが、長いものでは2億km以上のものもありました。これは、地球と太陽 との距離を越えています。
Q3:アイソン彗星はいつかまたもどって来る?
A3:
今までの観測から軌道を計算すると、二度と戻ってこないと考えられます。ただし、もう少し精密な 観測ができると、地球と太陽との距離の1万倍(1.5兆km)以上遠くまで行って、100万年後くらいに戻って くるという結果になるかもしれません。
Q4:彗星はどのくらい太陽に近づくのか? 飛び込んでしまうものはないの?
A4:
今までに太陽に近づいた彗星はたくさんあります。太陽の半径は約70万kmですが、その表面10万kmくらい のところを、すれすれに通過したものもあります。また、近づき過ぎて太陽に飲み込まれてしまったり、 バラバラに壊れてしまったりしたものもあります。アイソン彗星は、太陽の表面から100万kmくらい離れた ところを通ります。非常に明るくなると期待されているのは、太陽に近づいて蒸発が盛んになると考えられ ているからです。
Q5:彗星が生命誕生に関わっているって本当?
A5:
そういう考え方をしている研究者もいます。生命はタンパク質からできていて、タンパク質はアミノ酸と いう化合物からできています。アミノ酸の種類はたくさんありますが、生命の基本となる特別なアミノ酸が、 彗星から発見されたアミノ酸とよく似ているということです。
Q6:いつ、どこで見られる? 何時頃どちらを見ればよい?
A6:
アイソン彗星が最も太陽に近づくのは11月の下旬です。12月になると明け方の東の空に見えてきます。 日本を含め、北半球で観測できます。夜が明ける前、暗いうちから東の空に注目しましょう。12月中旬に なると急速に暗くなると予想されています。
Q7:観察に適した場所は?望遠鏡は必要?
A7:
東の地平線まで見渡せる、暗い場所が理想です。街灯が多く明るい空だと、長い尾は見にくくなります。 大きな望遠鏡より双眼鏡がおすすめです。なるべく倍率が低くてレンズの大きな双眼鏡がいいです。
Q8:写真に撮れる?どんなカメラがあればいい?
A8:
人間の眼で見えなくても、デジカメでは簡単に写ります。スマホでも撮れるかもしれません。必要なのは、 カメラがブレないように三脚を用意することです。明るいレンズ、感度を高く設定して、1秒から10秒くらい の露出時間にします。
Q9:彗星の名前はどうやってつけるのか? アイソンは人の名前?
A9:
アイソン彗星の正式な名前は、" C/2012 S1 ISON "です。"C/"は新しく発見された彗星、"2012"は発見 された年、"S1"は9月後半に発見された1番目の彗星を意味します。そして、その後に発見者の名前が3名 までつけられます。
しかし、"ISON"は発見者の名前ではありません。国際科学光学ネットワーク (International Scientific Optical Network, ISON) のプロジェクトにより発見されたので、ISONと なっています。
この春に話題になったパスターズ彗星も、Panoramic Survey Telescope And Rapid Response System(Pan-STARRS)というプロジェクトで発見 されました。
天文教育普及研究会 Japanese Society for Education and Popularization of Astronomy