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2014年 縣 新会長からのメッセージ


 今夏(2014年7月)、天文教育普及研究会の第7代会長に就任しました国立天文台天文情報センターの縣秀彦です。任期は2016年6月までの2年間ですが、天文・宇宙に関心をお持ちの多くの方々に、天文教育の充実と天文に関するサイエンスコミュニケーションの発展へのご理解とご支援を深くお願いする次第です。

 今から27年前の1987年夏に、北軽井沢にある駿台学園「一心荘」にて、「第1回天文教育研究会」が開催されました。東京学芸大学の大脇直明教授と、東京天文台(現在の国立天文台)の故磯部しゅう(王ヘンに秀)三先生が中心になって企画され、全国の天文教育指導者に声をかけて実施された当時としては画期的な合宿でした。私は高等学校教諭になって3年目の年でしたが、両先生のお手伝いを高橋淳さん(現:茨城県立水海道第一高校)他の皆さんと一緒にさせていただき、この時、天文教育・普及に目覚めました。
 2年後の平成の年の始まりと同じくして1989年に天文教育普及研究会が設立され、磯部さんが会長、私は副会長として本会に関わることとなりました。それから、あっという間に四半世紀以上が過ぎた訳ですが、この間の天文学の発展、天文・宇宙に関する人々の関心の高まりは当時、予想すらできませんでした。


 天文教育、天文学の広報やアウトリーチ活動、または天文領域におけるサイエンスコミュニケーションの役割や質も時代とともに大きく変化しています。今後はさらに、その重要性や人々からの関心が増してくるに違いないと予想いたします。


 本会も日本天文学会はじめ、多くの関連団体・機関とも連携・協力しながら、この間、重要な役割を担ってきました。会員数も比較的早い時期に600名を超えて、学校教育関係者、生涯学習関係者、そして一般市民の立場で天文普及に関心を持つ方々が立場の違いを超えて一体となって、天文学の教育と普及に関して情報の共有と研究・実践を進めている点が本会の大きな特徴と思います。

 今まで本会の運営に手弁当で参加されてきた歴代の会長はじめ執行部、事務局、編集委員、運営委員等の役員の皆様、そして会員各位に感謝の意を示すとともに、今後は、今までの活動を引き継ぎ、さらに成長・発展させていくために、以下の8項目を重点課題として会務を遂行したいと考えています。

 @会員・非会員を問わず、天文教育・普及に関してのより開かれた議論・提案・活動の場の創出
 A学校教育、社会教育、一般普及の各分野委員の活躍の場の確保
 B北海道、東北、関東、中部、近畿、中国四国、九州の各支部活動のさらなる充実
 C広報活動の充実と情報発信の強化(特にウェブページやSNSの利用等)
 D会誌内容のさらなる充実と論文、実践報告、発表資料等のアーカイブ化
 E国際天文学連合(IAU)はじめ海外組織・機関との連携強化等による会のグローバル化
 F国籍、年齢、性別、障がいの有無、貧富の差等を問わないユニバーサルな会の運営
 G次世代に向けての運営基盤の見直しと強化(会員数増加への取り組みや会則の見直し等)

 このほか、近々の課題としては、主に4点が挙げられています。
  • 生涯学習施設の存続および発展を目指す活動(生涯学習施設支援ワーキンググループを中心に)
  • 次期学習指導要領における天文分野の学習内容の充実を目指しての活動(次期学習指導要領検討ワーキンググループを中心に)
  • 全国津々浦々において天体観望会が気軽に開催できることを目指しての支援活動(天体観望会開催支援ワーキンググループを中心に)
  • IAUによる系外惑星系ネーミング活動への国際支援活動(太陽系外惑星命名支援ワーキンググループを中心に)
  これらの諸課題を天文教育普及研究会内に設置された各ワーキンググループが中心となって関連する諸団体・組織等と協議・協力して推進する必要があります。

 これら多くの課題を解決するためには、何よりも本ウェブページをご覧になられた皆さんからの情報発信や活動・コンテンツ・ノウハウの共有、そして、天文教育普及研究会としての活動全体を充実させていく必要があります。

 本会は、天文教育の振興および天文普及活動の推進を了解される方なら、どなたでも入会できる開かれた研究会です。個人・団体を問いませんし、職業や経験・経歴も全く気になさる必要はありません。いわゆる論文生産を主目的とした従来の学術団体とは異なるフレンドリーな研究会です。ぜひ、本会会則等をお読みいただき、天文教育普及研究会の活動にご参加ください。


2014年10月15日 天文教育普及研究会
会長  縣 秀彦



   

天文教育普及研究会 Japanese Society for Education and Popularization of Astronomy